ぎふし共育・女性活躍企業

ぎふし共育都市プロジェクト 基調講演・パネルディスカッション

2024年2月9日、みんなの森ぎふメディアコスモス1階のみんなのホールにて行われた令和5年度ぎふし共育・女性活躍企業認定式では、基調講演とパネルディスカッションが開催されました。基調講演では、株式会社GHIBLIの代表取締役を務める坪内知佳氏が登壇。パネルディスカッションには、サンメッセ総合研究所(Sinc)代表の田中信康氏がファシリテーターを務め、坪内知佳氏に加えて、株式会社和愛グループ代表取締役の若山陽一郎氏、アース・クリエイト有限会社代表取締役の岩田良氏がパネリストとして参加しました。

漁船団を女性1人でまとめ上げ、6次産業化を実現

「みんなで」という視点が元気な企業とまちをつくる

基調講演では、株式会社GHIBLI代表取締役の坪内知佳氏が「多様な視点によるイノベーション~企業における多様性の大切さ~」をテーマに講演。坪内氏は萩市に移住し、企業を対象にしたコンサルティング業務を開始した際に、漁師たちと出会い、2011年3月に約60人の漁業者をまとめ上げた「萩大島船団丸」を設立しました。その後、農林水産省に6次産業化の認定を申請し、漁獲した魚介類の自家出荷を開始します。現在は、全国で船団丸ブランドを展開。テレビ番組への出演も多く、テレビドラマの主人公のモデルにもなっています。

坪内氏は講演の中で、「イノベーションとは古いものを壊して新しいものをつくるのではなく、守るべきものは守り、変えた方がいいものはより良いものへと変えるべき」と語り、「その視点が持続可能な経営・まちづくり・生き方において重要」と話します。実際、船の上で魚を箱詰めし、首都圏の飲食店へ直送するスタイルは、魚を獲って終わりだった漁師たちでは思いつかないやり方。反発もありましたが、通常より最大24時間も早く届く鮮度のいい魚は評判を呼び、大きなムーブメントとなりました。

また、自身も子育てをしながら働いていた坪内氏は、自分と同じ境遇の女性を住み込みで働けるようにしたり、社員の1人が保育園に預けた子どもたちを迎えに行く間、他の社員が全員分の夕食を作って持ち帰ることができるようにしたりと、子育てと両立できる環境を整備。現在は、20名ほどの子育て中の社員がオンライン出社をするなど、柔軟な働き方を取り入れています。

坪内氏は「ダイバーシティとは、極端なことをしなければいけないのではなく、“みんなで”という気持ちでコツコツとできることをするという気持ちが大事。山間過疎地や漁村など、地方で生み出せる強みをいかして、日本を元気にしていければ」と熱い思いを伝えました。

ダイバーシティは今の企業にとって不可欠なキーワード

3人のパネリストがその重要性を討論

その後に行われたパネルディスカッションでは、「今、企業に求められるダイバーシティ」をテーマに議論を展開。ファシリテーターを務めたサンメッセ総合研究所(Sinc)代表の田中信康氏は、「さまざまな価値観を認め合い、働く環境づくりをすることは、企業にとって永遠のテーマ」とし、ダイバーシティを推進することで実感していることや実践している取り組みなどをパネリストに問い、討論を進めました。

愛知県小牧市で不用品回収業を行う株式会社和愛グループ代表取締役の若山陽一郎氏は、「仕事は幸せに生きていくための手段」とし、時間とお金の交換ではなく、将来の夢や目標に向かって成長しようとする社員に給与を上げていく仕組みを構築。「ここで働きたい」と思ってもらえる職場、「この人と働きたい」と思われる人材の育成を目指していると語りました。

アース・クリエイト有限会社代表取締役の岩田良氏は、建設会社のイメージを変えたいと、子育てに関する有休は子どもが中学を卒業するまで無制限に取得可能にするなど、柔軟な対応ができる体制を整備。また、子育て中の女性を積極的に採用・活用し、現在は男女比4:6を実現している自社の取り組みを紹介しました。

基調講演に続いてパネリストとして登壇した坪内知佳氏は、「個々の社員がさまざまな事情を抱えていることは当然と考えれば、得意なことをいかして多様な業務をシェアして働ける場をつくることは当たり前」とし、「自分は関係ない、自分さえよければいいという考えを捨てることが大切」と話します。経営者に対しては、会社は公のものであるという意識をもって会社全体を俯瞰で見て、世の中にアンテナを張りながら必要なことを取り入れることが重要と、エールを送りました。