セミナーレポート

「オール岐阜でめざす!共育・女性活躍セミナー」 Vol.2ぎふし共育企業の実例から学ぶ 女性活躍支援

2023年10月27日、みんなの森 ぎふメディアコスモス(岐阜市司町)にて「オール岐阜でめざす!共育・女性活躍セミナー」が開催されました。今回のテーマは、 「共育をしながら活躍できる女性の増加へ ぎふし女性活躍企業から学ぶ女性活躍推進と多様な働き方の創出」。さまざまなライフステージの女性が活躍できる職場づくりをめざす企業が参加し、取り組みのヒントを学びました。

 

実際に家庭と仕事を両立しながら活躍している女性社員が登壇

女性活躍を推進する各社の取り組みも発表

今回のセミナーでは、岐阜市内で女性活躍を推し進めている「ぎふし女性活躍企業」の2社が登壇。各社の取り組みとともに、現在、管理職として活躍している女性社員が自身の経験を語り、女性活躍支援の重要性を伝えました。

1社目は、デイサービスやグループホームなどの介護福祉事業を行う株式会社笑顔いちばん。山口専太郎代表取締役は、慢性的な人材不足が課題となっている介護業界において、企業主導型事業所内保育所を開設してスタッフの子どもを預かったり、資格取得支援を行ったりしながら、女性のキャリアアップをサポートしてきました。現在は、12事業所の中で7名の女性が幹部として活躍しています。

その中の1人である辻千鶴さんは、2014年にパート社員として入社。最初は週3日の勤務でしたが、仕事にやりがいを感じて2018年に正社員となり、介護福祉士の資格を取得しました。翌年には、美濃店の施設長を任されましたが、仕事と家庭の両立に難しさを感じ、何度も退職を検討したそうです。しかし、社内に女性管理者が多く、相談できる環境があったこともあり、就労を継続。2021年には、エリアマネージャーに就任しました。

辻さんは「これからは人材育成にも尽力し、個々の強みをいかした生き方ができる職場をつくっていきたい」と話し、新たに浮上している女性の介護離職問題にも、解決に向けて積極的に取り組みたいと熱意を語りました。

 

次に登壇したアース・クリエイト有限会社は、男性従業員が大半を占める建設業で、半数を女性が占める会社。その中で、女性のみで構成された企画制作室マネージャーの足立真紀さんが、子育て中の女性が活躍できる職場環境づくりについて、実践している取り組みを伝えました。

アース・クリエイトが女性活躍を推進し始めたきっかけは、現場作業後の事務処理による長時間労働という課題。その業務を細分化し、短時間でも出勤できる女性社員が担うことで、時間外労働の削減を目指しました。現在、女性で構成された企画制作室は、正社員4名、パート社員10名が所属し、週1日勤務やテレワーク勤務など、さまざまな働き方で活躍しています。

足立さん自身も、38歳の時に3人の子どもをもつシングルマザーとなり、アース・クリエイトに入社。フレックスで働きながら営業実績を積み、現在は企画制作室のマネージャーを務めています。

子育て世代の女性を束ねる秘訣として、「常に情報を共有し、業務はチーム内でバディを組むなど、急な休みでも業務を止めず、フォローできる体制をとっている。また、年3~4回の面談で家庭や仕事での不安を聞き取り、キャリアルートの意思確認をするなど、理解を深めるよう心がけている」と、自身の取り組み方を話してくれました。

 

グループワークで参加者取り組みや悩みを共有

後半は、参加企業が自社の取り組みや課題を共有するグループワークを実施。各グループで発表し合い、話し合われた内容を他のグループにも伝える場を設けました。

参加者からは、

「自己PRシートを使って、自分自身が将来どうなりたいかを考えてもらった上で、面談を行うという方法が参考になった」

「当社では学童の費用を補助したり、完全リモート勤務の社員にリモート手当を出したりしている」

「フレックスタイム制を取り入れ、働く時間がバラバラになったので、さまざまな業務をクラウド化している」

などの取り組みや意見が出されました。

特に、多くの参加者からは、「社員とのコミュニケーションの取り方に悩んでいる」という声が聞かれました。在宅勤務の社員とのコミュニケーションに悩む企業に対して、アース・クリエイトで営業部長を務める亀山雄樹さんは「 「当社では在宅勤務の方にも必ずオンラインでミーティングに参加してもらい、毎朝LINEと日報でその日の業務を報告している」と、取り組み方法を伝えました。

 

笑顔いちばんの山口社長も、子育て世代と年配の社員「とにかくコミュニケーションをとって、さまざまな人の立場をお互いに理解し合うことが重要」と話します。参加者は、今後のさらなる取り組みにつながるさまざまな企業の取り組みや意見に、熱心に耳を傾けていました。