セミナーレポート

「オール岐阜でめざす!共育・女性活躍セミナー」 Vol.1ぎふし共育企業の実例から学ぶ 男性の育児・家事参画支援

2023年9月27日、みんなの森 ぎふメディアコスモス(岐阜市司町)にて「オール岐阜でめざす!共育・女性活躍セミナー」が開催されました。今回のテーマは、 「共育をサポートできる職場環境づくりをめざして ぎふし共育企業の実例から学ぶ 男性の育児・家事参画支援」。夫婦ともに子育てを楽しめる環境整備をめざす企業が参加し、今後の取り組みのヒントを学びました。

 

先進的に環境整備を行うぎふし共育企業2社が

実際に取り組んでいる実例を発表

今回のセミナーでは、身近で行われている取り組みを知ることで、参加者が次のステップに踏み出すヒントを掴んでほしいという狙いから、岐阜市内で従業員の仕事と家庭の両立に向けて取り組んでいる「ぎふし共育企業」の2社が登壇しました。

最初に事例発表を行ったのは、「3K(きつい、きたない、きけん)のイメージが強い建設業を1K(かっこいい)の仕事にしたい」と職場環境整備に取り組むアース・クリエイト有限会社(岐阜市六条北)の岩田良代表取締役社長。

アース・クリエイトは、過去に倒産の危機に直面し、従業員の離職率が100%だった経験から、会社を存続させるためには、持続可能な働き方が必要だと考え、家庭と仕事の両立支援に取り組み始めました。

生産性を高め、休みたい人は休むことができ、働きたい人は後押しできる環境をつくるため、まずは既存の業務を徹底的に細分化することに着手。女性社員やパート社員ができる作業を洗い出し、個々が得意な分野や働ける時間に活躍できる仕組みづくりを行いました。

また、子育てに関わる特別有給休暇は、子どもの義務教育終了まで無制限に取得を可能に。社員の家族を招いたお仕事参観日などを行って、社内コミュニケーションをとり、休みやすい雰囲気を醸成しています。

その結果、育児特別休暇を取得した男性社員は延べ11人に上り、取得率も100%に向上。時間外労働時間も3分の1に軽減したにもかかわらず、利益は6倍にアップし、V字回復を達成しています。

 

 

次に登壇したのは、自身も17時には会社を出て積極的に育児や家事に従事し、「時代にあった働き方」を大切にする株式会社リーピーの川口聡代表取締役社長。

2012年に岐阜市にIターン移住し、ホームページ制作を起点としたWebサービスの提供を行う株式会社リーピーを設立した川口社長は、当時、長時間労働が常態化していたIT業界で、年間休日130日や裁量労働制、急な在宅勤務OKなどを基本とした働き方を設定しました。

また、男性社員も子どもが産まれたら、最低2週間以上の育児休暇取得を義務化し、取得率100%、最長取得期間1年半を実現しています。

子どもを見守ることができるかけがえのない時間を作るため、業務の属人化を防ぎ、誰もがフォローしやすい環境づくりにも注力。お客様とのやりとりやスケジュール管理の共有、業務マニュアルのアップデート、AI・RPA活用による作業時間削減などを進めてきました。

川口社長は、「人材不足が大きな課題となる現代において、働き方を改善すること自体が人材確保・強い採用力につながる経営戦略になる」とし、「3年後には、年間休日140日+有休10日以上、平均年収650万の会社を実現したい」と意気込みを伝えました。

 

グループワークで参加者取り組みや悩みを共有

後半では、参加企業が自社において行っている取り組みや、その中で抱えている課題などを共有するグループワークを実施。アイスブレイクとして、自己紹介と男性の育児参画支援の取り組みを紹介し、グループで話し合われた話題を発表しました。

参加者からは、

「若年層と年配層の間が二極化し、年配層の理解が得にくい状況がある」

「育休取得者のスケジュール調整に課題がある」

「経験値の差で、この人にしかできない仕事があり、取得が難しい場合がある」

「女性の育休や時短勤務などは進んでいるが、男性の育児参加をどのように進めていいか分からない」

などの課題が出されました。

こうした声を受けて、川口社長は「大切なのは、常に『育休などで休む人がいるかもしれない』という意識をもって、誰がかけても代替ができるツールや仕組みを準備すること。いつか自分もその立場になる可能性があるということを理解してもらい、支え合う考え方を浸透させることが必要」とアドバイス。

岩田社長も「子どもが産まれたら、育休を取得することが当たり前にしていけば、自然と共通認識になっていく。人が欠けた時に、みんなで考え、知恵を出し合うことが、企業の成長につながるはず」と、取り組みを後押ししました。