子どもの“しつけ”はどうしたらいい?
「子育てってどうしたらいいんだろう?」と悩むパパに読んでいただきたい、パパのためのウェブ版パパ大学。5回にわたって岐阜聖徳学園大学教育学部の西川正晃教授に、パパの子育てに役立つお話をお聞きします。
前回は、親子が共に成長する「共育」のポイントは、親子のトキメキポイントを探すことというお話を聞きました。今回は、パパママが悩みを抱えやすい“しつけ”の仕方を教えていただきます。
まずは子どもの叱り方から。子どもは「叱らず叱る」
お話を聞いた岐阜聖徳学園大学教育学部の西川正晃教授
「子どもをどうやって叱ればいいですか?」この質問に対して、私はまず「子どもは叱らない」と答えます。最もベストなのは、「叱らず叱る」という方法。これは専門的に言うと「イエスバット(yes but)法」といいます。つまり、まずはどんなことがあっても子どもがしたことを褒める、もしくは認める(Yes)。その後に「でもね(but)」とダメなことをダメだと伝える、もしくは他の方法を伝える、というものです。
子どもが壁に落書きをした時を考えてみましょう。まずは「すごく上手に描けたね」「〇〇ちゃんは絵が好きだね」と、子どものトキメキポイントを認めます。その後で、「でも壁に描くと消えなくて困ってしまうから、今度からはこの紙に描こうか。そうしたらみんなにも持っていって見せられるね」とダメなことを一緒に他の方法を伝えます。大人が教えるのではなく、子どもと一緒に考えるのもいいですね。自分で決めたことなら、子どももそのルールを守りやすくなります。
子どもは「大人を困らせよう」と思っていたずらをすることはほとんどなく、自分が感じたトキメキポイントを実践しているだけです。それを認めることなく感情のままに怒ってしまうと、子どもも受け入れることができなくなります。難しいことですが、冷静に「なぜやったのかな?」とトキメキポイントを理解して、子どもと一緒になぜダメなのか、どうしたらいいのかを考えることが大切です。
しつけは親が子に教えるのではなく、一緒に考えて習慣にする
さて、本題の“しつけ”についてですが、ここでも私は「共育」の実践をおすすめします。しつけと聞くと、どうしても親が子どもに正しいことを教えるという図式を思い描いてしまいがちですが、ここでも「一緒に成長する」という意識がポイントになります。
外出して帰宅した際には、手を洗うようにしつけたい。そんな時は子どもに「洗いなさい」というのではなく、大人が率先して一緒に洗うことで「当たり前のこと」として習慣化します。「手を拭いたタオルはどうしたらいいかな?」と問いかけて、「洗濯機に入れる」「このカゴに入れておく」など、一緒に我が家のルールを決めれば、子どもは自分がやりやすい方法を自分でつくれたことを認識し、守ろうという気持ちが生まれます。
でも、一緒に決めたからといって「絶対守れるはず!」と、期待しないでくださいね。子どもですので、失敗することは必ずあります。その時は、「なぜ守れなかったのか」「どうしたらもっと守りやすくなるのか」を一緒に考えてください。第1回にもお伝えしたように、子育てには答えがいくつもあって、正解はありません。それを親子で一緒に見つけ出す、もしくはつくっていけばいいのです。子育てに子どもを巻き込む「共育」は、それができるとてもいい方法だと思います。
夫婦の「共育」も、一緒に考えるが基本
この方法は、夫婦の共育にも同じことがいえると思います。夫婦が一緒に育児をするという並列の意識を持てば、あらかじめそれぞれの役割を決めていなくても、一緒に育児をしていく間に自然と役割が生まれてきます。育児には正解はないので、その家庭ごとの生活パターンに合わせて、必要なことや役割ができていくのがベストな家事・育児シェアだと思います。
私自身も共働きで、それぞれ先に帰宅した方が夕飯を作ることになっているのですが、私が作ることになった時は「やった!自分の好きなものを作れる!!」と喜んで腕をふるいま
す。そんなふうに、パパが家事や育児の中に自分なりのトキメキポイントを持つことが、義務感や責任感のある家事・育児にならない大切なポイントだと思います。さらに、「一緒にやろう!」と子どもも巻き込んでいけたら楽しいですね。