“共育”は夫婦だけじゃない! 親子でも“共育” しよう
「子育てってどうしたらいいんだろう?」と悩むパパに読んでいただきたい、パパのためのウェブ版パパ大学。 5回にわたって岐阜聖徳学園大学教育学部の西川正晃教授に、パパの子育てに役立つお話をお聞きします。
第1回目は、「ぎふし共育都市プロジェクト」のテーマである「共育」について。岐阜市では、夫婦が共に育児をする共育を推進していますが、西川先生は共育とは夫婦だけのものではなく、親子でも実践すべきと話します。さて、親子の共育とはどんなものなのでしょうか。
パパもママも、子どもと一緒に成長するという意識を
お話を聞いた岐阜聖徳学園大学教育学部の西川正晃教授
子育てをする人の中には、「正しい子育てをしなければ」と思っている方も多いと思います。
でも、責任感や義務感をもって子育てをすると 、うまくできない自分を責めてしまったり、言うことを聞いてくれない子どもを許せなくなったりと、どこ かで壁にぶつかってしまうものです 。
岐阜市では、パパとママが共に子育てをする「共育」を推進していると聞き、とてもいいことだと感じました。でも、「一緒に行う」という共育は、夫婦だけでなく親子でもぜひやっていただきたいことなんです。つまり、大人が子どもを育てるのではなく、「一緒に育っていこう」という意識を持つことが大切ということです。
私はよく「パパやママとお子さんは、どちらが年上ですか?」という質問をします。多くの人が当然パパ・ママだろうと思ってキョトンとされますが、パパ・ ママは お子さんが 生まれた時から、初めてパパ・ママになれます。 だから、パパもママもお子さんも、同じだけの時間を過ごしてきた同い年です。だから、楽しいこと、難しいこと、危ない ことなど、すべてを一緒 に経験して、考えて、成長していけばいいのです。 「こうしなければいけない」という思いや情報にとらわれ過ぎず、子どもと一緒に、親としても、大人としても成長 していこうという気持ちで、お子さんと同じ時間を過ごしてほしいと思います。
子育てに正解はない。親子なりの正解を見つけることが大切
一緒に成長すればいいと言われても、どうしたらいいか分からない。そんな方もいらっしゃると思います。でも、親子で成長する「共育」ですから、どうしたらいいかという答えは、お子さんと一緒に考えればいいのです。ミルクの飲ませ方やだっこの仕方も、お子さんの様子 を見て いれば、どうすると気持ちよさそうなのか、反対にどうすると嫌がるのかは、おのずと 感じられます。まだお子さんが会話ができなくても 、それが子どもとの大切な対話です。もちろん、お子さんが好きなことや心地よいことは、その子によってそれぞれ違うはずなので、その親子なりの答えを見つけていけばいい。それが 共育の一歩です 。
たとえば、お子さんが少し大きくなって、一緒に虫取りに行ったとします。すると、お子さんの大好き なバッタがカマキリに捕まっていました。バッタはかわいそうだから助けてあげたいけれど、カマキリもバッタをエサとして食べなければ生きていくことはできません。それまで「生き物の命は大切にしよう」と教えて きたのに、 どう伝えたらいいのか。子育ても世の中も、こうした矛盾に満ちています。
そんな時も、正しい答えを教えようとする必要はありません。大切なのは、子どもと一緒に親子の 世界だけの 正解を求めていくこと。大人は経験豊富ですが、子どもは大人にない発想やひらめきを持っています。それを出し合って相談することで、子どもだけでなく大人も新しい発見や思いも寄らない成長があります。パパも自分の成長「おもしろい!」と感じられる子育てをしてほしいと思います。