人事担当者が聞きたい!共育Q&A【第3回】

なぜ「産後パパ育休」で男性の育休は取得しやすくなるの?


男女共に仕事と家庭を両立できる環境づくりを目指して、2021年6月に改正された「育児・介護休業法」。2022年4月から段階的に施行され、10月には「産後パパ育休(出生時育児休業)」や「育児休業の分割取得」などがスタートしました。でも実際「育児・介護休業法ってどんなもの?」「どのように取り入れたらいいの?」と悩んでいる企業も多いはず。

そこで今回から5回にわたって、社会保険労務士の下野ななやさんに、知っておきたい基礎知識やおさえておきたいポイントを質問していきます。第3回は、産後パパ育休によって男性の育休取得が進む理由に迫ります!

オフィス・プリュス・アン
社会保険労務士 下野ななや氏


社会保険労務士の立場から、「企業における両立支援の取組」を応援する活動を中心に、大学・高校などにおいて「ワークライフバランス推進」のセミナー講師も務める。

Q.企業側が社員に取得を促しやすくなるポイントは?

産後パパ育休は、法律上「申し出は2週間前まで、就業は禁止」と定められています。しかし、労使協定を結ぶことによって「申し出は1カ月前まで、社員が希望すれば、範囲内(4週間あたり10日まで)で出勤可能」とすることができます。

企業側にとっては、取得の2週間前に申し出を受けた場合、なかなか準備態勢が整えられないという状況もあるはず。1カ月前の申し出に変更することで、仕事の引き継ぎなどもスムーズにできるようになると思います。また、社員との同意によって必要な時に出勤ができることは、企業側にとっても社員側にとっても、安心感につながるはずです。出勤に関して社員の希望を聞くことで、企業内でも職場の働き方や体制を考えるきっかけになるかもしれません。

ただし、労使協定を結ぶ際には、育児休業を取得しやすい雇用環境を整備したり、妊娠・出産(本人または配偶者)など育児休業申出にかかわる社員に対して個別に育児休業などの情報を周知したりするなどの取り組みが必要となります。必要な取り組みの詳細は、岐阜労働局雇用環境・均等室に確認していただくことをおすすめします。

Q.社員にとって育休を取得しやすくなる理由は?

社員の中には「長期で育児休業を取得するのは難しい」と感じている方も多いと思います。その点、短期間ずつ2回に分けて取得できるようになると、取得のハードルが下がることが期待されます。

特に、産後パパ育休を活用できる産後8週間は、夫婦共に大切な時期。初めての出産では戸惑いの連続ですし、2人目以降なら上の子のお世話も必要です。産後パパ育休の活用によって、育児の負担が大きくなるこの時期に、育児目的で休むことへの後ろめたさが軽減されればと思います。

育休中の出勤についても、重要な業務が予定されている日などに出勤することによって、同僚の負担軽減を図ったり、自分自身も仕事と家庭の両立を体験するいい機会になります。こうした制度を活用して、無理のない育児参画ができる生活や仕事のスタイルを構築してください。

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